中古ワンルームマンションの年間流通件数が、過去最高の6万件を超える見込みであることが東京カンテイ(東京都品川区)の調べで分かりました。同社によると、11年1~9月の流通件数は4万5983件。10年の年間流通件数4万2920件を既に上回っており、前年同期(2万2969件)比では2倍を超えるとのこと。景気低迷下で、安価な不動産投資への注目度が高まっている様子がうかがえます。
背景にあるのは、新築ワンルームの大幅な供給減です。1~9月の供給戸数は3081戸で、前年同期比では400戸弱増えたものの、年間ベースでは5年連続で減少する見通し。更に、10月1日に施行された宅建業法施行細則の改正により、マンション販売の規制が一層強化されることを踏まえると、今後新築ワンルーム市場が活性化する可能性は低いと言えるでしょう。表面利回りも08年以降は4%台前半で推移しており、金融商品としての魅力が薄くなっていることも大きな要因です。
一方で11年1~9月における中古ワンルームの表面利回りは8.01%。ここ2年間は下落しているものの、小幅な変動率にとどまり、流通価格とともに相場が安定しています。また、1戸当たりの平均賃料を見ると、新築の8万709円に対して中古は7万301円。その差は年々縮まっており、坪換算ではわずか431円です。
中古ワンルームが一定の利回りを維持している要因としては、90年代半ば以降に竣工した物件が、良質なストックとして市場に蓄えられていることが大きいようです。バブル期以降の物件の『質』の高さとともに、「所有しているだけで値上がりした」時代が終わり、供給側も居住者目線を重視せざるを得なくなったことで、平均専有面積も拡大を続け、直近では約23平米となっています。
東京23区内で駅近の好立地、それなりの広さでバス・トイレが別であれば、賃料の大幅な下落は考えにくく、しかも割安に購入でき、ある程度の利回りが見込める中古ワンルームに投資家需要が移行しているのは、むしろ自然な流れと見るべきでしょう。