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「日本の地価は割安」収益性、アジアで突出。

2012年の公示地価(1月時点)は都心部を中心に底を探る動きが出てきました。日本経済は少子高齢化や産業空洞化など構造問題を抱え、東日本大震災からの復興という重い課題も背負っていますが、不動産市場にはマネーが戻り始めています。東京、大阪、名古屋の三大都市圏の商業地の地価は平均で前年比1.6%下落と、前の年(2.5%)より下落幅を縮めました。まし取引は震災直後にいったん低迷したが、11年後半からは活発になっています。

不動産証券化協会によると、REITの物件取得額は11年に7144億円と33%増えました。リーマン・ショックのあった08年には及びませんが、大底の09年比では約3倍となっています。ケネディクス不動産投資法人が昨年取得した札幌駅北口のオフィスビル付近では地価が3.5%上昇しました。REITの不動産購入が地価の下落に歯止めをかける構図が復活し始めています。

また、海外マネーも日本に戻り始めました。英不動産大手グロブナーは昨秋、リーマン・ショック後に止めていた日本投資を再開し、六本木、南麻布の高級賃貸マンションを相次ぎ購入。シンガポールと中国の政府系企業は共同で15の物流施設を1226億円で取得、昨年の国内最大の不動産取引になりました。背景には日本市場の「割安感」があります。海外勢が注目するのが、不動産の投資利回りから資金調達コストを示す長期金利を引いた実質的な運用利回りを指す「利回り格差」という指標。ドイツ証券によると、日本は直近の数値が5.12%と同じアジア圏の香港(1.77%)やシンガポール(2.07%)を上回っています。アジア主要都市の地価は世界的な金融緩和であふれたマネーが入り高騰が続きましたが、欧州債務危機を受けて調整の兆しが出ています。一方で日本は震災復興需要が見込まれ、地価底入れへの期待が広がりました。

さらに、海外の「実需」も不動産市場に入り始めました。目立つのはIT(情報技術)分野で日本市場開拓を目指すアジア企業だ。都心にオフィスを構え、地価の下支え役も担っています。東京・大手町の高層タワー「ファーストスクエア」に入居する中国の大手通信機器メーカー華為技術は昨年、入居エリアを3倍にしました。4月開業の複合ビル「渋谷ヒカリエ」(同・渋谷)には韓国系ネットサービス大手、NHNジャパンが入ります。韓国料理店やアイドルグッズなどを扱う雑貨店が並ぶ東京都新宿区のJR新大久保駅では、「韓流ブーム」が続き、幅広い年代の女性が大挙して訪れています。同駅西側の地価は1.9%上昇しました。明るい兆しが見え始めた不動産市場ですが、今年は東京で大型オフィスビルが相次ぎ完成し、供給過剰が懸念される「2012年問題」が顕在化します。地価の先行きは震災からの日本経済の回復力を反映するといえそうです。