国税庁は7月2日、相続税や贈与税の税率を算定する際の基準となる12年分路線価(評価時点=12年1月1日)を発表しました。それによりますと、全国約36万5000地点の標準宅地の平均路線価は前年比2.8%下落。4年連続の下落で、すべての都道府県で前年を下回りました。ただ、下落幅は前年と比べて0.3ポイント縮小し、23の都道府県で前年よりも改善。特に、滋賀県(前年比1.1ポイント改善)、京都府(1.4ポイント改善)、大阪府(同1.7ポイント改善)、兵庫県(同1.1ポイント改善)、奈良県(同1.5ポイント改善)など、大阪管内での回復が目立っています。また、東京都では、東京スカイツリー周辺で上昇を示すなど前年比0.8ポイント改善。一方、福島県は、前年を更に3.4ポイント下回る6.7%の下落となりました。12年1月1日時点における「警戒区域」「計画的避難区域」については、路線価を定めることが困難ということで価格をゼロとしていますが、原発の影響が色濃く出た格好です。なお、東北エリアでは、秋田県を除く全エリアで前年よりも下落幅が拡大し、茨城県(同5.5%下落、同1.5ポイント悪化)、栃木県(同4.8%下落、同1.1ポイント悪化)、千葉県(同2.0%下落、同0.1ポイント悪化)、山梨県(同3.8%下落、同0.7ポイント悪化)などでも下落幅の拡大となりました。
成長戦略の加速と資産デフレ脱却が鍵に。
資産デフレに陥ることなく、景気回復の動きを確かなものとするためには、住宅・都市分野における成長戦略を加速していくことが必要です。とりわけ、住宅投資は内需の柱として重要な役割を担っています。消費税率引上げ時には、住宅取得に係る税負担をこれ以上増加させない措置を講じることが不可欠でしょう。また、日本経済回復の鍵は、資産デフレからの脱却にあります。税制の抜本改革や新たな不動産取引制度の構築が急務となるでしょう。消費増税においては13年度以降の税制改正で、住宅取得時税負担の軽減が検討される旨、法案に明記されることとなりました。今後も、税率引き上げ分を住宅取得者に返還する「還付制度」の創設が待たれるところです。