国土交通省は4月24日、宅地建物取引のうち、重要事項説明書や契約記載内容書面(37条書面)などの電子化に取り組む検討会を開催しました。これは、13年12月20日に政府のIT総合戦略本部で決定した「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」で不動産取引における重要事項説明に際しての対面原則の見直しの提言を受けて設けたものです。検討会には、不動産のインターネット取引における規制改革を提案している「新経済連盟」事務局長の関聡司氏(楽天執行役員)や沢田登志子ECネットワーク理事のほか、不動産関連団体から、全宅連、全日本不動産協会、FRK、不動産協会の委員が参加。座長には、中川雅之日大経済学部教授が就任しました。
会合では、重要事項説明制度の概要が紹介され、不動産業に係るトラブルで全体の約4割が重要事項説明絡みであることなどが分かりました。その上で、重要事項説明、37条書面の交付、媒介契約書の交付について電子化できるかどうか、実証実験を行うことが発表され、Skypeによる説明(テレビ電話)や書面への記名押印に電子署名が活用できるかなど実務上の留意点を把握するとしています。実験は5月中に行われ、なりすまし(取引主任者・消費者)防止などの観点から、売買・賃貸といった取引類型ごとに模擬的な形式で行うとのこと。また、ITリテラシーに差があると思われる属性(年齢など)ごとにモニターを選定することも検討されます。
検討会で出た意見としては、関委員など電子化を推進するグループからは、「インターネット上での取引は、遠隔地などでの契約など消費者への利便性が大きい。トラブル防止のための策を検討してメリットを享受してほしいし、やり方によってはネットのほうが消費者保護になる」と強く勧める発言がありました。これに対し、不動産関連団体からは、「売買に比べ、賃貸の取引は少額だが、居住トラブルなどを考えると、本人確認なども含め対面でないと怖くてできない」「重要事項説明には個人情報に関係することが入るので、すべてをネットで行うのはどうか。それに比してメリットがあるとは思えない」「メリットが実証実験で検討され、納得できるものなら当然電子化を進めていく。契約書については、現状、読み合わせ等をして項目の変更などもあり、電子化で対応できるのか」など、取引電子化の導入に疑問の声も。今後は、実証実験の結果報告などを6月に行い、同月中に中間取りまとめを公表、14年中に最終取りまとめを策定する予定です。