国土交通省は8月29日、全国主要都市の高度利用地の地価動向を四半期ごとに調査している「地価LOOKレポート」を発表しました。それによりますと、2014年第2四半期(14年4月1日~7月1日)の主要都市・高度利用地150地区における地価動向は、上昇が120地区(前回119)、横ばいが28地区(同27)、下落が2地区(同4)となり、上昇地区が1増えて、前回同様全体の約8割となりました。上昇地区の割合が高水準を維持しているのは、金融緩和などを背景とした不動産投資意欲の高まりで、商業系を中心に多くの地区で上昇が継続していることからと見られます。新宿三丁目は、「収益不動産の好調な経済情勢が持続する中、収益不動産の取引が中心で、新規物件への投資意欲は引き続き旺盛で、依然として供給過小の状態」(鑑定評価員)。「ステータス性の高いこの地区の不動産への強い投資需要が継続している。これに対し、売り手が売り急ぐケースはほとんど見られず、優良物件を中心に需要が競合する傾向が続いていることから、地価動向は引き続き上昇傾向にある」(国交省地価調査課)としています。また、「元々繁華性が高い地区だが、高級ブランド店のオープンなどにより高級感が増し、強い店舗需要を背景に賃料は強含みの状況」(地元不動産業者)。東京メトロ副都心線による複数線乗り入れが定着し、一部の買物客が渋谷でなく、新宿三丁目で降りるなどの流れが好影響を与えています。下落2地区のうち、1地区は東京圏の千葉駅前。投資適格性のある物件が少ない上、地域的な競争力が低下しており、不動産市況は回復局面になく、引き続きやや下落傾向が続くとみられています。圏域別で見ると、東京圏では下落が1地区以外は、上昇(53地区)か横ばい(1地区)。大阪圏は上昇地区が31、横ばいが8で約8割の地区で上昇。名古屋圏は、13年第2四半期から5期連続で14地区すべてが上昇となりました。用途別では商業系地区は8割以上の地区で上昇、住宅系地区は75%の地区で上昇となっています。全体としては地価の上昇基調は継続しているものの、東京圏郊外の住宅地を中心に建築費の上昇などで地価の上昇が鈍化している地区があることによるものでしょう。ただし、京都の下鴨や御池といった高級住宅地ではマンション需要が強く地価も上昇していましたが、購入者の負担可能な上限水準となり、建築費の上昇もあって、今期は横ばいとなりました。また、郊外を中心に地価の上昇が鈍化する傾向も見られ、「住宅地については、こうした動きがちらほら見られるようになった。今後の動きを注視していきたい」(同省地価調査課)としています。