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賃貸繁忙期序盤は前年並みか 「二極化」傾向が鮮明に

a0960_006264毎年12月から翌年3月までの「賃貸住宅繁忙期」。この1月で序盤戦が終了しました。「まだまだこれから」「例年よりも悪くない」など、様々な声が地元不動産会社から聞かれてきます。2~3月にかけて更に忙しくなりますが、今回の序盤戦は前年並みの状況だったと見て取れます。ただ、好調物件とそうでない物件の「二極化」が例年以上に見受けられるようです。

アットホームが、加盟店ネットワークの状況をまとめた1月における「首都圏居住用賃貸住宅」の成約件数は2万2091件で、前年を0.4%下回りました。また、全国に直営143店舗を有するハウスコムによると、1月のトータルの成約件数は前年比4.6%増となり、14年10~12月のペースを上回る結果となっています。「1月の状況を見ると、前年並みかやや上回るペース」と同社ではとらえており、後半に向けて更なる上積みを図る方針です。

アットホームのデータによりますと、1月の首都圏全体の新築マンションの成約件数は0.2%増加、新築アパートは17.9%増加しています。これで、新築物件はマンションとアパート共に10カ月連続で前年を上回る結果となりました。アットホーム業務推進部シニアリサーチャーの岩田紀子氏は、「都心部はいわゆるアッパー層が動き、郊外エリアも頑張って新築を借りようという流れが出ている。全体的に良質な物件は動く傾向にあり、『二極化』と表現することもできる」と分析しています。

また、エリア別でみると、神奈川エリアの数値が気になるところです。同じくアットホームのデータでは、1月の成約件数は東京23区が前年比1.1%減少、東京都下が同0.4%増加、神奈川県が同4.6%減少、埼玉県が同4.8%増加、千葉県が同9.1%増加。東京23区の減少は、前年が12.6%の大幅増だった反動と見られますが、神奈川は前年の8.2%減に続く落ち込みとなりました。アットホームの岩田氏は、「神奈川エリアは分譲マンションの人気も高いため、そちらに需要が流れているのかもしれない」と語っています。また、都内と神奈川エリアの物件を手掛ける品川区の賃貸事業者は、「強いのはやはり都心部。理由はあまり分からないが、神奈川は近年不調」としています。一方、好調を維持しているのが千葉、埼玉。こちらは割安感のある賃料水準が支持されているようです。

前回の繁忙期もそうですが、近年の賃貸市況は「二極化」が一つのキーワードとなっています。種別や築年数など「物件」におけるそれはもちろんですが、「人」の二極化も進む一方だといいます。特に単身サラリーマンにその傾向が強く、「新築物件の二桁賃料に人気がある一方で、3万円台を希望する人も多い」(東京都町田市の事業者)といった内容です。賃貸物件サイト「ホームズ」を運営するネクストによりますと、首都圏における1月調査で、「敷金ゼロ・礼金ゼロ」の反響割合がアパートは前年比15.5%増加しましたが、マンションは0.5%の減少でした。14年12月も同様の傾向で、アパートが前年比12.9%増、マンションは3.4%減となっています。賃料が比較的低いアパートだと、初期費用を割安に抑えたいと考える消費者の割合が、マンションよりも高まる傾向にあることが窺えます。

「二極化」の状況は学生も同様です。京王線明大前駅の不動産業者は、「特に女子学生だが、社会人よりも高い物件に入居している人は見かける」と話しています。しかし一方で、「以前だったら就職活動のために都心に近いエリアに住み替える動きもあったが、今はかなり減っている」といった感想も。大学生・専門学生向け物件情報サイト「学生ウォーカー」(http://www.gakusei-walker.jp/)が1年前に実施した調査によると、14年4月から首都圏で一人暮らしを始める新入生の平均賃料は5万5334円(前年比1.1%上昇)で、09年の調査開始後初めての上昇となっています。09年(5万8894円)や10年(5万7137円)と比べると低い水準ですが、市場にとっては明るい話題の一つ。今年もその傾向が続いているのか注目されるところです。