4月22日、日経平均株価が15年ぶりに終値で2万円を回復しました。内閣府が発表する月例経済報告でも、この1年で経済全体と住宅業界の好転ぶりがうかがえる内容が盛り込まれています。「恩恵は富裕層の一部だけ」という指摘もありますが、今後の更なる好転が期待されるところです。
内閣府が毎月発表している月例経済報告(4月)では、「景気は、企業部門に改善がみられるなど、緩やかな回復基調が続いている」と記されています。また、今後についても「雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、原油価格下落の影響や各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される」としました。半年前の14年9月の経済報告では「一部に弱さもみられる」、1年前は「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる」という文言が付いていたことと比べれば、回復基調にあることは間違いないようです。
住宅建設業界についても、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、減少している」(1年前)→「減少テンポが緩やかになっている」(14年9月)から、この4月は「底堅い動きとなっている」に改善されました。ただ、建築費の動向には引き続き注視が必要との懸念が示されています。
住宅業界の中でも、投資分野の好調ぶりは目を引きました。アベノミクス効果や五輪特需を狙ったものだと考えられますが、海外投資家による実物不動産の買い注文は活発です。更に、Jリート市場も好調。全体の値動きを表す東証リート指数が15年1月8日には1921.33ポイントとなり、07年12月13日以来7年ぶりに1900ポイント台を示しました。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のリートへの投資開始、更に日本銀行によるリート投資の水準引き上げなどが市場に好影響をもたらしています。
日本銀行が四半期ごとに公表している金融機関の不動産業者に対する「貸出態度判断DI」について、最新の15年3月調査で大企業(資本金10億円以上)が27ポイント(前回調査比2ポイント上昇、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が18ポイント(同8ポイント上昇)、中小企業が9ポイント(同4ポイント上昇)となりました。同調査は、回答企業からみた金融機関の貸出態度を「緩い」から「厳しい」で判断し、独自に算出したもの。企業規模による「格差」はある状況だが、09年3月調査(大企業=マイナス32ポイント、中堅企業=マイナス29ポイント、中小企業=マイナス34ポイント)のボトム以降はほぼ一貫して上昇しており、明るさが見えている状況です。