不動産経済研究所によると、2019年の首都圏マンション供給戸数は、前年並みの3万7000戸程度(2018年は3万7132戸)となる見込みです。10月に予定されている消費税率引き上げについては、住宅ローン減税の3年延長などの対策が決まり、反動減のような影響は限定的とみています。また、昨年後半に伸び悩んでいたモデルルームの来場数や契約数が年明けから回復傾向となっており、こうした状況が継続すると、供給量はさらに上乗せされる可能性があります。エリア別の供給戸数は、東京都区部が1万6000戸(同1万5957戸)、東京都下が4000戸(同3666戸)で、2018年の平均価格は5871万円で前年比わずかに下落(0.6%減)したものの、郊外でもディベロッパーは駅近など立地を厳選して仕入れる傾向は続き、施工費は高止まりしているため、2019年も同水準の高値が続く予想です。
新築マンションのマーケティング会社である工業市場研究所は、2019年の供給戸数は2018年の3万8500戸(同社予測ベース、定期借地権物件、ワンルームを含む)を確実に上回ってくると予測しています。2019年の潜在的な供給戸数の上限を最大約4万6900戸と推計するとともに、前年のマンション新設着工戸数約5万5000戸(12月予測を含む)に対する年間供給率を70%~75%と見込んで、4万戸前後に供給が増えるとしています。また価格調整の進捗度合によっては、更に上ぶれる可能性もあるとしました。同社では供給率について、80%以上を好調期、70%台は市況二極化、70%を割り込むと市況低迷期と位置付けています。その供給率は、2015年74.0%、2016年61.4%、2017年60.2%、2018年は59.5%と右肩下がりが続きましたが、先送り大規模物件の供給促進、消費税増税の駆け込みが見込まれる2019年は70~75%に引き上げています。また同社によりますと、「ここ数年、価格が高い水準を保っていた新規物件の供給率(=未発売戸数に対する供給戸数の割合)は2018年11月時点で41.1%にまで低下していた。同様に低下傾向で推移していた継続物件については、昨夏を底に供給率が反転し始めている」と、供給増の兆しがうかがえるといいます。
カギを握るのは、価格の高止まりで販売が先送りされていた「郊外マンションの価格調整」と、東京・晴海で今春に販売が始まる「五輪選手村の大規模物件」の2つでしょう。郊外物件の価格調整と、選手村の販売開始が首都圏の新築マンション市場の価格に影響を与えるのは必至で、その動向が注目されます。