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ESG不動産の市場整備へ 国交省で検討会の初会合

国土交通省は2月14日、外部有識者による「ESG不動産投資のあり方検討会」の初会合を開きました。近年、投資家がESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する動きが拡大していることや、国際社会でSDGs(持続可能な開発目標)が共有されていることなどを受けた検討会です。不動産投資市場の中長期的な持続・発展へ向け、ESGやSDGsに沿った投資環境を整備するための考え方や取り組みの方向性、施策などを議論していく見込みです。

会合の冒頭、同省土地・建設産業局の野村正史局長が「近年はESG、SDGsに対する国際的な投資市場の関心が高く、そうした海外投資家の視点を踏まえた不動産投資のあり方への検討が求められる。ぜひ忌憚のない意見を」とあいさつし、国内外の社会的課題に対応する不動産市場形成に意欲を示しました。続いて、同省が国内外のESG不動産投資の現状についての調査を発表。JリートにおけるESG対応や投資家の意向、金融庁の方針などを紹介し、国内の不動産投資市場においてもESGへの関心や取り組みへの意欲が高まっている様子を示しました。こうした市場の傾向を受け、同省はESG不動産投資のあり方について、「基本的な考え方」「取り組みの方向性」「分野別の取り組み」の3段階で論点を設定しています。

「考え方」では、不動産投資市場の健全な持続・発展のため、不動産単体の短期的な収益性だけでなく、地域社会を含めた中長期的な持続可能性の重要性などを提示。「方向性」の中では、例えば労働人口の減少への対策としてオフィスの性能を高めるといった社会的課題を解決するための取り組みは、目下の投資リターンが明確でなくとも中長期的なリターンにつながり得るという見解を示しました。さらに、機関投資家などが不動産投資判断を的確に行うための情報開示の重要性についても論点として挙げました。

今回の会合で「不動産投資市場におけるESG、SDGsの動向」について発表を行った堀江隆一委員(CSRデザイン環境投資顧問社長)は、情報開示の手法を重視し「わかりやすく共通の指標を作り、比較可能な開示情報の基本姿勢を政府が示した上で、業界団体へ発信していく形が望ましい」と提案しました。また、オブザーバーとして参加した日本ビルヂング協会連合会の金子衛参事役は、「優良ストックへの正しい評価がビルオーナーの正しい行動につながる。日本はその評価がまだ確立されていないので、ぜひ深い議論を」と話し、ESGの視点を取り入れたビルを適正に評価する市場づくりへ期待感を示しました。

今後は3つ目の「分野別」の論点も含めて議論を進め、6月に中間取りまとめとして意見や方針を集約する予定ということです。