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2022年にオフィス賃料上昇、使い方・再定義の重要度が浮上。

JLL(日本本社=東京都千代田区)では9月15日からの3日間、オンラインで「不動産&ホテル投資フォーラム2020」を開催しました。同フォーラムは今年で9年目となり、テーマは初日がオフィス、2日目が不動産投資、3日目がホテルで、日本における現状分析や展望が披露されました。今回は新型コロナウイルス感染症の影響で初のオンライン開催。フォーラム参加者は3日間で延べ約1100人になりました。

オフィスマーケットを見ると、東京都心5区(千代田・中央・港・渋谷・新宿)のAグレードオフィス(延床面積3万㎡以上、基準階面積1000㎡以上など)の賃料(月額坪当たり)は2012年後半から上昇し、新型コロナの影響で2020年第2四半期(4月~6月)に下落に転じました。第2四半期末は4万42円。経済回復の動向を踏まえ、賃料の下落・調整を経て、2022年の上昇を推測しています。

一方、空室率は第2四半期末が0.7%で、今後の供給状況を踏まえ、空室率は年末までに2%程度に上昇、2021年、2022年が3%程度、2023年には4%弱と推測。市場の均衡点と言われる4、5%を下回ると分析しました。

2020年の日本の不動産投資総額は、上半期が2.6兆円で対前年同期比6%増。第1四半期(1月~3月)では同30%増、第2四半期は同21%減。新型コロナの影響で、物件確認、デューデリジェンスの抑制が見受けられるとしています。第3四半期(7月~9月)は同5%減と推定。不動産投資市場は比較的健全な水準を維持していると分析し、通年では総額4.3兆円、同10%減に収まると推測しました。

ホテル投資では、新型コロナの影響で取引が限定的であることに加え、売主、買主の価格感が乖離。資金を豊富に持つ投資家がいる一方、レンダー(融資主体)はホテルの新規案件に融資を行わないスタンスで、投資家のレバレッジ(他人資本を用いて、自己資本の利益率を高めること)後のリターンは低下し、取引の減少を生み出しています。

また、オフィスはコロナ禍で最も予測が立てにくいマーケットで、テレワークの進展に伴い、今後のオフィスの使い方や再定義が重要になっています。JLLの高橋氏は「日本国内の拠点をどう変えていくかという視点がある。その中にはサテライトオフィス、コワーキングスペースをうまく活用しようという動きもあり、固定費の流動化を考えている企業はある」と説明しました。一方、野村総合研究所の榊原氏は「固定席で、ソーシャルディスタンスを保つレイアウトは流行らない。フリーアドレスになるので、(オフィス内の)1人当たりの面積の増減でオフィス需要を語れない時代になる」と指摘しています。JLLの根岸氏は「投資の検討では、立地、規模、設備・間取り、周辺のビルの使われ方を確認し、どういう企業がどういう部署を入居させ、どう使うのかを見れば、より市場に即した評価ができるのでは」と述べ、ディスカッションを締めくくりました。