新年あけましておめでとうございます。本年もご愛顧のほどお願い申し上げます。
昨年末、政府は令和3年度税制改正大綱を閣議決定しました。
税制改正大綱は各省庁から寄せられる税制改正の要望などを踏まえ、与党の税制調査会が中心となり次年度以降の税制改正の方針をまとめたもので、今年3月頃に国会で可決・成立します。
①令和3年度土地の固定資産税、据え置き
土地の固定資産税は3年ごとに評価額が見直されます。2021年度からの3年間は地価が上昇傾向にあった2020年1月の地価公示に基づいて課税されることになっていましたが、2021年度に限り負担軽減措置が取られることになりました。対象は、商業地や住宅地、農地などすべての土地です。
地価の上昇に伴って2020年1月の地価公示に基づく課税額が、2020年度を上回る場合、2021年度の税額は据え置き、地価の下落によって課税額が減る場合はそのまま課税額を引き下げます。
②住宅ローン減税、床面積40㎡以上が優遇措置の対象に
住宅ローン減税が通常より3年長く適用される特例措置について、入居期限を2022年の12月末まで延長します。但し、注文住宅は2021年9月、分譲住宅は2021年11月までに契約する必要があります。
また、住宅ローン減税が適用される物件の対象を拡大し、現在の床面積の50㎡以上から40㎡以上にします。但し、新たに対象となる40㎡以上50㎡未満の物件については所得制限を厳しくして、3000万円以下から1000万円以下に引き下げます。
減税措置が40㎡以上対象となると、多くの賃貸物件と競合するため、今後賃貸を辞め購入を検討するケースも増えると予測されます。
③中小企業法人税、軽減税率延長
中小企業の法人所得800万円以下に対する軽減税率を19%から15%にする措置について、令和5年3月31日まで2年間延長されます。
個人では所得が330万円を超えると、超えた部分の所得税と住民税の税率は30%を超えるため、個人事業者の法人化の加速も予測されます。
④中小企業投資促進税制2年延長、対象業種拡大
中小企業投資促進税制は、中小企業者などが指定期間内に一定の設備投資を行った場合、30%特別償却または7%税額控除の適用を認める措置で、適用要件の対象業種に不動産業、物品賃貸業が追加されます。但し、賃貸に使用する設備投資は対象になりません。
今回の税制改正について、政府は新型コロナの打撃を受けた企業や個人の負担を和らげる措置としていますが、ほとんどが現行制度の継続で、新たな減税は大企業向けのものでした。個人の場合は持ち家や車を持たない人には恩恵がなく、今後はコロナ支援による財政赤字が全ての人々に増税の形で返ってくるのが必至のようです。