国土交通省は1月29日、2020年の建築着工統計調査報告を発表しました。年間の新設住宅着工戸数は前年比9.9%減の81万5340戸で、4年連続の減少となっています。90万戸を下回ったのは6年ぶり、戸数としてはリーマン・ショックの影響が強かった2010年の81万3126戸以来の水準。新設住宅着工床面積は6645万4000m2(同11.2%減)で、同じく4年連続の減少となっています。
戸数の内訳を見ると、持ち家は26万1088戸(同9.6%減)で前年の増加から再び減少に転じました。1960(昭和35)年の23万3259戸以来の低水準。前回消費税が8%に引き上げられた2014年の同19.6%減に次ぐ減少幅。貸家は30万6753戸(同10.4%減)で3年連続の減少。戸数は9年ぶりの低水準ながら、減少幅は同3.3ポイント縮小して30万戸台を保っています。分譲住宅は同10.2%減の24万268戸で、6年ぶりの減少。マンションが10万7884戸(同8.4%減)で前年の増加から再びの減少、戸建てが13万753戸(同11.4%減)で5年ぶりの減少となりました。
すべての分野で1割前後の減少となっており、2019年10月の消費増税や新型コロナウイルス感染症の影響等による住宅需要の落ち込みが、着工数として如実に表れたように見えます。ただし、分野によって減少要因には幅や濃淡があり、持ち家は緊急事態宣言下の住宅展示場停滞などにより営業が困難となった影響が大きいと推測されるものの、貸家では統計上、近年の減少傾向の範囲内に収まっています。また同省住宅局の担当者は、「マンションは性質上着工戸数の幅が大きく、コロナの影響で減少に転じたとは言い切れない」として、物件の着工タイミング等による揺れの範囲内との認識を示しました。