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急増するタワーマンション、大規模修繕の体制づくりが急務。

2022年6月、マンション管理計画認定制度で全国初の認定が行われました。急増する高経年マンションの管理適正化に向け、長期修繕計画や大規模修繕工事の重要性が増しています。特に近年供給が続くタワーマンションは、建物の大きさやコミュニティ規模、周辺地域への影響などから注目度が高い半面、大規模修繕工事については対応可能な事業者が限定され、2回目以降はほぼ未経験という状況です。

東京カンテイによりますと、最高階数20階以上の分譲マンション(タワマン)のストック総数(2021年末時点)は1427棟・37万5152戸。全国で棟数が最も多いのは東京都(458棟)で、大阪府(255棟)、神奈川県(139棟)と続きます。築10年以内は477棟・13万7656戸で、マンションストックの中でも比較的築浅の割合が高くなっています。

国土交通省の2021年度マンション大規模修繕工事実態調査によりますと、タワマンの大規模修繕工事受注件数は全体の5.5%。受注事業者の大半は1回目の修繕経験にとどまっています。事業者にとっては工事の難易度が課題であり、同調査でも「仮設工事」「外壁塗装」「施工計画全般」が上位に挙げられています。特にタワマンの仮設工事は工事金額の約3割(タワマン以外では21.9%)を占めており、金額面からも事業者の計画力を問う要素となっています。

タワマン大規模修繕の受注実績が「ある」としたのは約30社。「ない」とした事業者の理由として、管理会社系は「事業対象ではない」、専門工事系では「大規模修繕工事の施工経験がない」が目立ちました。今後の受注に向けて「対策はしていない」が約4割と最も多く、対策済みの事業者も「タワマンの修繕実績がある施工会社(下請け協力会社)と連携」や「修繕技術に関する社員教育」がそれぞれ2割にとどまっています。修繕工事体制の構築や工期短縮、工事費削減に向けた研究など業界を挙げた取り組みが急務で、成長市場に育つか、〝大規模修繕難民〟を生むリスクとなるか、関係者の本気度が問われています。