2024年10月1日
令和5年の税制改正大綱によりますと、国税庁は税の計算ルールを見直し、相続税評価額を「実勢価格」の6割以上に引き上げる方針です。タワーマンションなど、マンション高層階の低い評価額を利用した大幅な節税対策を是正する狙いがあります。
相続等で取得したマンションの評価額は、建物の価額(建物の固定資産税評価額×1.0)と敷地の価額(敷地全体の面積×共有持分×平米単価)の合計額によります。例えば、後者の敷地面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、立地条件の良好な場所でも評価額が市場価格に比べて低くなるケースがあるのです。生前に不動産を取得すれば相続税を安く抑えられるとして、節税目的として高額なマンション購入が広まっており、国では対策に向けて検討を行ってきました。
新たな算定ルールでは、建物の築年数や階数などを基に市場価格を算出。評価額が大きく下回った場合、評価額を最低でも市場価格の6割に引き上げて評価を行います。このルールは、令和6年1月1日以後の相続又は贈与により取得した財産に新しいマンション評価が適用されます。つまり、令和5年中の相続又は贈与で取得した場合には、従前の低い評価額により計算し、令和6年以降の相続又は贈与により取得した財産は、最低でも市場価格の6割水準で評価することとなります。
年内の駆け込み贈与が増えそうですが、市場価格と従前の相続税評価額が大きく乖離しているような極端な事例では、総則6項による否認の可能性もあるため要注意です。