東京カンテイはこのほど、築10年の中古マンションを対象に2023年のリセールバリュー(価格維持率)を調査・分析しました。これは、竣工から10年間が経過した分譲マンションの資産価値を判断する指標として同社が築後9~11年の物件を対象に実施。首都圏では今回、445駅が対象駅となり、その平均値は139.5%となりました。
2023年の最高駅は東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅(295.5%)で、新築分譲時に比べて約3倍に値上がりした計算です。平均坪単価は、新築分譲時424.8万円に対し、中古流通時1225.2万円。対象物件は大手ゼネコンが施工した41階建ての駅近大規模タワーマンションのみで、個別のバイアスが大きく影響している点を同社は指摘しています。なお、ランキング上位30駅はいずれも東京23区の駅が占め、一極集中の様相を示しました。主な内訳は海外投資家や富裕層からもニーズを集める港区が12駅、高級住宅地が存在する千代田区(7駅)、駅前再開発で街のポテンシャルが向上した渋谷区(5駅)。
今回、リセールバリューが150%以上を示す駅は121駅(シェア27.2%)で、路線図上で確認すると、東京都心部に位置するJR山手線エリアに多く分布。「100~150%」の駅も316駅(同71.0%)で、対象駅のほとんどが新築分譲時を上回る資産価値を示しています。一方で、資産価値が新築分譲時よりも目減りしている駅は東京都下や周辺3県の遠隔地に散見される程度で、目減りの度合いも1割弱にとどまりました。
同社は、対象物件が分譲された2013年前後は価格高騰局面に入って間もない時期で、新築マンションの販売価格は現在に比べて割安感が強かったと説明。「現在の中古マンション市場では物価高や円安による海外投資マネーの流入などを背景に、新築マンションにつられる形で中古マンションの価格水準も押し上がっている」とし、一般勤労者の実需ニーズが中心の東京都下や周辺3県の近郊、郊外エリアでも新築分譲時の販売価格を上回ることが常態化してきている点を指摘しています。