国立社会保障・人口問題研究所は今年4月、2050年には全世帯に占める一人暮らしの割合が44.3%に達するという推計を発表しました。現在は38%で、今後増加ピッチが速まるなか、分譲市場では1LDKなどの単身者向けマンションの販売が好調です。一方、分譲価格の高騰で、良質な賃貸への需要も増えています。
社人研の推計によりますと、「世帯の単独化」が一層進むことで平均世帯人員は今後も減少を続け、2020年の2.21人から2033年にはついに1.99人と、初めて2人を割り込みます。単身世帯が全世帯の44%強にもなる2050年には1.92人まで減少すると予測しています。
また、「単独化」のスピードについても、2015~2040年を推計した前回調査(2018年)では、単身世帯の比率を2030年には37.9%、2040年には39.3%になると見込んでいましたが、今回はそれぞれ41.6%、43.5%と上ぶれしています。
そうしたなか、分譲マンション市場はファミリー世帯向けが中心でしたが、ここにきて単身者向けの1LDKが脚光を浴びています。ビッグデータを扱うマーキュリー(東京都新宿区)の調査によりますと、首都圏における1LDKの供給戸数上位5社による合計数が2021年786戸、2022年976戸、2023年1187戸と拡大しています。
なぜ、ここにきて単身者による分譲マンション市場が活性化しているのかについて、有識者は、「コロナが人生を見つめ直すいい機会となって、住まいの快適性に対するニーズが強まるだけでなく、将来のことも考え、資産形成手段として購入する人が増えた。中でも独身女性が多い。また年齢が上に行くほど老後の不安を覚える傾向もある」と解説しています。
30代や40代前半の層には、将来結婚したときには売却したり、賃貸住宅として貸したりすることができるように、資産性の高いものを購入したいというニーズが高いと指摘しています。供給側もその点が開発する上でのポイントとなり、交通利便性の高い立地や、単身者に人気があり将来の売却時にも有利な間取りであることが重要となりそうです。