不動産流通経営協会(FRK、太田陽一理事長)は10月29日、「不動産流通業に関する消費者動向調査」(2024年度)を発表しました。首都圏(1都3県)を対象に2024年3月末までの1年間に住宅を購入して引き渡しを受けた世帯を対象に調べたもので、回答数は1348票でした。
それによりますと、買い換えによる売却差額の発生状況については、売却益が出た世帯は59.7%(前年度比2.4ポイント増)となりました。売却益が「2000万~3000万円」の世帯は6.9%(同1.1ポイント増)、「3000万円以上」も8.2%(同2.4ポイント増)を占めています。他方、売却損が出た世帯は32.8%で、前年度から4.6ポイント減少しました。
築年別では、売却益が最も高かったのは「築5年~10年」の平均1431.9万円で、「築25年超」では平均271.1万円の売却損となっています。売却損の状況を見ますと、平均3990万円で購入し、平均2818.9万円で売却しており、売却損は前年度の1112.7万円から拡大して1164.3万円でした。
既存住宅の購入に対する意識では、「新築・既存にこだわらなかった」割合は50.3%で、前年度と比べて3.9ポイント増加。「既存住宅を中心に探した」割合は45.4%(前年度比4.6ポイント減)と減少しましたが、同日の説明会でFRKは「この数年では同様のトレンドが見られる」と説明し、中長期では新築・既存にこだわらない割合が増加している点を指摘しています。 また、住宅ローン減税の利用では、「住宅購入に影響した」とする世帯が新築住宅購入者で85.9%、既存住宅購入者で76%となりました。具体的な影響では、新たな選択肢に加えた「住宅を購入できた」が41.7%と最も多く、次いで「住宅ローンの返済計画が立てやすくなった」が続きました。FRKでは新築・既存住宅共に、住宅購入者の7割以上が住宅ローンを利用している状況も指摘し、「税制では住宅ローン減税の延長・拡充を要望している」と訴えています。同減税制度の利用について「利用した、または利用する予定」は82.1%を占めており、今後についても住宅ローン減税への期待感がうかがえました。