森ビルは12月5日、「東京23区オフィスニーズ調査」の結果を報道関係者に発表しました。主に東京23区に本社があり、資本金上位約1万社を対象に、今後の新規賃借予定などのオフィス需要に関するアンケートを9月に実施したものです。
「新規賃借予定あり」と回答した企業は25%で、この数年間は全体の約4分の1前後で推移しています。うち、新規賃借面積「拡大予定」が58%、「変更なし」が24%、「縮小予定」が18%。「拡大予定」の割合は2020年調査から4年連続で増加しています。
新規賃借予定の「理由」は、「立地の良いビルに移りたい」が1位、「新部署設置、業容・人員拡大」が2位、「設備グレードの高いビルに移りたい」が3位。一方、「賃料の安いビルに移りたい」、「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更」は減少傾向にあり、コロナ禍直後の景況悪化やリモートワーク等に対応したオフィス移転は落ち着きつつあるようです。従業員300人以上の企業では「セキュリティ」「耐震性能」「防災体制」「1フロアー面積」なども上位に挙がっています。
移転先の「希望エリア」としては、直近3年間(2022~2024年調査)の平均値を見ますと、「日本橋」(19%)「丸の内」(16%)「大手町」(15%)「虎ノ門」(13%)「新橋」(12%)など、大規模な再開発事業が集積するエリアへの注目度が高いことが分かりました。駅や道路などのインフラ整備による交通利便性の向上や、職住遊が複合するコンパクトな街への期待感が見られています。
過去1年間の賃料改定の有無は、「あった」企業が14%、「現在交渉中」が5%で、うち「増額」は73%。オフィス市況の回復を背景に、増額改定の割合増加が続いています。
従業員の出社率は、平均78%と前回から2ポイント上昇。出社率80%以上の企業割合も64%と前回から5ポイントポイント上昇し、引き続きオフィス回帰が進んでいます。「在宅勤務」の導入は2021年の80%をピークに微減が続き、今回74%に低下しました。「フリーアドレス」の導入も横ばいで推移しており、コロナ禍を契機とした働き方やワークプレイスの変化は落ち着きつつあるようです。
また、コロナ禍以降のオフィス環境づくりの支出は、38%の企業が増加したと回答。37%が今後も増加と回答しています。コロナ禍以降のオフィス内機能のオフィス面積に占める割合の変化は、「業務支援エリア」「オープンなミーティングスペース」「飲食・ウェルネスエリア」について「新設・面積割合増加」したという回答が「面積割合減少・廃止」を上回っており、従業員の生産性向上、コミュニケーション強化やウェルネス向上に寄与するオフィス機能の拡充が進んでいる様子がうかがえました。