森記念財団都市戦略研究所は9月2日、「日本の都市特性評価2025」を発表しました。全国136都市と東京23区を、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野・87指標で評価しています。それによりますと、全国136都市の中では、大阪・関西万博で活気づく「大阪市」が総合スコアで5年連続トップ。2位は昨年同様「名古屋市」、3位は「福岡市」で昨年の5位からランクアップしました。
「大阪市」は、「経済・ビジネス」「文化・交流」の両分野で高評価を獲得。「経済・ビジネス」では労働生産性や新規設立法人登記割合などビジネス創出の高さが目立っています。「文化・交流」では、観光地の数や文化財指定件数のほか観光客誘致活動が昨年よりも大きく改善。2018 年に万博の開催が決定以降、会場やインフラ整備、ホテル建設が進み、「高級宿泊施設客室数」や「新規住宅供給の多さ」、「自治体SNS フォロワー数」、「観光案内所・病院の多言語対応」、「水辺の充実度」などの指標で相対的に評価を高めました。
2位の「名古屋市」は学術と居住で高水準を維持。3位にランクアップした「福岡市」は、特に「経済・ビジネス」分野で強みを発揮し、新規不動産業用建築物供給面積でスコアが上昇しました。「文化・交流」では観光客誘致活動のスコアアップが目立ち、比較的バランスのとれた都市力でアジアの拠点都市としての地域を固めつつあるようです。
また、調査開始以降、順位を上げつつある都市として「盛岡市」「松山市」「岡崎市」をピックアップ。「盛岡市」は「文化・歴史・伝統への接触機会」「水辺の充実度」などに指標で評価を高め、「松山市」は景観や観光面の指標で上昇傾向を示しました。「岡崎市」は川を生かしたまちづくりとメディアで認知度を向上させているのが特徴。同評価の運営委員会委員長である市川宏雄氏は、「単に川があるだけでは評価されない。盛岡市や岡崎市などは行政が水辺をうまく生かしている」と指摘しています。
東京23区のランキングでは、「港区」が今年も1位を維持。2位は「環境」以外の全分野でトップ2入りをした「千代田区」が、3位には「生活・居住」分野で首位を獲得した「中央区」がランクインしました。
(この都市特性評価は定量・定性データを元に各都市の強みや魅力といった都市特性を明らかにすることを目的に2018年から実施しています)