住宅新報社が年2回実施している「4大都市圏家賃調査」(16年9月1日時点)がまとまりました。それによりますと、東京圏のマンションの平均賃料は全タイプの間取りで横ばい傾向となっています。 アパートの平均賃料は、1K~2DKタイプは6万2555円で同0.14%上昇。2DKタイプが8万5312円で同0.03%上昇。アパートは2DKの上限を除き、いずれのタイプも上昇となりました。アパートについては、1Kから1DKタイプ(20m2~25m2)が相続税対策で供給増となっているため、賃料が下落すると思われましたが、新築であるがゆえに下限を底上げしており、小幅ながら上昇しました。
調査対象の不動産会社からのヒアリングによりますと、「繁忙期があまりなくコンスタントに少ない状況だった。来店したユーザーも既にネットで3件くらいに絞り込んで来ており、内覧してすぐに契約という人が多い」(埼玉県草加市の業者)。「外国人や高齢者が増えている。そちらをターゲットにしている業者も増えてきた」(東京都下の業者)といった声があり、秋の賃貸繁忙期が春と比べると、ピーク期がなくなってきている現状や賃貸住宅がセーフティネットになっている実態が垣間見えます。
ただ、代官山、武蔵小杉といった人気の街では家賃は上昇しており、堅調。また、最近人気駅ランキングで吉祥寺を上回る恵比寿も上昇しています。注目駅は飯田橋。ワンルームタイプで前回比5%を超える上昇を見せました。JRから東京メトロ、都営地下鉄など5路線が集まるターミナル駅となり、若い会社員に人気があるといいます。路線別に見ますと、京王線、小田急線、東急東横線、東急田園都市線は総じて堅調。堅調だった中央線は国分寺や武蔵境で下落しました。常磐線や西武池袋線も東京に近い駅までは横ばいですが、柏、所沢まで離れると下落傾向となっています。同一エリアでの二極化傾向もここ数年の特徴です。人気がある東急東横線も、前記した代官山、武蔵小杉以外はほぼ横ばいで、横浜の隣駅である反町は下落しています。
ヒアリングした業者の中では、URや大手が採り入れている『DIY賃貸』や、コンセプトを持った部屋へのリフォームなどに興味を持っている会社が複数ありました。「釘1本、画鋲1つ壁に打ったり付けたりしてはダメ、というのでは、最近の若い人には受けないのでは」「ハワイやグアムなど、南の島での暮らしといったコンセプトはどうだろうか」(東京都下の業者)といいます。様々な工夫で賃貸市況を活気づけようと各社は取り組んでいるようです。