都市再生に向けた取り組みの共通指針として政府が定める都市再生基本方針。その見直しを進める内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議が、このほど都市再生基本方針の改定案をまとめました。改定案では、都市再生に向けた重点施策として、医療・福祉サービスの的確な提供や環境負荷の低減のほか、安定的な民間都市開発推進のためのファイナンス環境の整備を明記しました。11年1月7日まで、一般からの意見募集を行い、同1月中の閣議決定を目指します。また、12月中旬をメドに不動産投資市場の戦略の策定を予定している国土交通省は、12月7日に公表された金融庁のアクションプラン中間案と同基本方針を踏まえた形で、戦略の検討を続けています。
都市再生基本方針の見直しは、6月に閣議決定された新成長戦略に大都市の成長戦略の策定が盛り込まれたことを受け、行われたもの。
改定案では、「都市開発に対する民間投資が持続的かつ円滑に行われることが必要」として、ファイナンスの環境整備を重点施策の1つに掲げました。これはリーマンショック後に、キャッシュフローが安定し、損益面も黒字が確保されているJリートの資金繰りがひっ迫したことや、ミドルリスク資金の供給縮減に伴い不動産投資市場全体が縮減したことなどが背景にあります。リファイナンスを必要とする頻度の少ない長期の資金や確保が困難なミドルリスク資金について、安定的に資金供給が行われる環境整備を進めるとしました。
この整備にあたっては、年金基金や個人資産など国内の資金の積極的活用と併せて、海外投資家の資金導入の促進を重要視。海外投資家による投資を円滑化するための環境を整備するとしています。
同時に、Jリートなどの安定稼働に移行した不動産を購入できる主体についても、円滑に資金供給が行われることが必要として、投資家のニーズに沿った的確な情報提供や商品開発を促進することにより、不動産投資市場の活性化を図るとしています。