森記念財団・都市戦略研究所(竹中平蔵所長)は11月19日、「世界の都市総合力ランキング2019」を公表しました。東京は前年と変わらず3位でしたが、4位のパリとの差が縮まってきました。東京が総合力を上げるには、ハイクラスホテルの整備やナイトタイムエコノミーの活性化などが必要と提言しています。
「世界都市ランキング」は、トップ10の順位に変動はなかったものの、その内容には変化がありました。同調査は6分野・70指標の総合スコアでランキング。1位のロンドン、2位のニューヨーク、3位の東京、4位のパリ、5位のシンガポールの上位5都市について、いずれもスコアを落としています。この要因は、新たに4都市を追加したことによる競合の増加と、指標入れ替えにともなうもの。東京は、GDPの成長率や世界トップ500企業などの指標が下落し、「経済」分野の減速が目立っています。こうした中でパリは、スコアがほぼ横ばいとなり東京に肉迫。テロの影響で人材流出が懸念されましたが、観光の復活がスコアの下支えとなりました。
同調査は、都市の強みと弱み、政策的課題を探ることが目的であることから、今回は東京が弱みを克服して、東京五輪後にスコアを伸ばすために必要なことを提言しています。特に、ロンドンとの差が大きい「文化・交流」分野を伸ばすには、ハイクラスホテルの整備やナイトタイムエコノミーの活性化、文化・エンタメ施設の整備、多言語対応の推進が必要としました。また、スタートアップ環境整備・起業支援、大学の国際競争力強化による「研究・開発」分野のスコア伸長など、それぞれの分野で具体的な改善項目を挙げています。ナイトタイムエコノミーの活性化について「世界の都市で進んでいて、東京は明らかに遅れている。やることは決まっているがやっていないという状況」(市川宏雄明大名誉教授)、「インバウンドに対するナイトタイムエコノミーの需要がある」(竹中平蔵所長)と指摘しています。