国土交通省は2020年12月25日、同年11月分の建築着工統計調査報告を発表しました。新設住宅着工戸数は前年同月比3.7%減の7万798戸で、17カ月連続の減少となっています。新設住宅着工床面積は575万m2(同4.7%減)で16カ月連続の減少。季節調整済年率換算値は82万戸(前月比2.3%増)で4カ月ぶりに増加に転じました。引き続き総戸数と床面積の減少が続いているものの、いずれも前月と比べ減少幅は縮小。また年率換算値については反転増となるなど、数字としては、長く続く住宅着工の減少傾向の勢いがやや弱まっています。
戸数の内訳を見ても、同様の傾向がうかがえます。特に持ち家は2万4010戸(前年同月比1.5%増)で、16カ月ぶりに増加に転じました。また、持ち家が2万4000戸を超えたのは13カ月ぶりとなります。貸家は2万6451戸(同8.1%減)で27カ月連続減。減少傾向は続いているものの、2カ月連続で減少幅が縮小し、1桁台の減少率に戻しました。さらに、分譲住宅は1万9548戸(同6.1%減)で13カ月連続の減少。分譲のうち、マンションは8049戸(同0.7%増)で6カ月ぶりの増加、戸建ては1万1372戸(同10.5%減)で12カ月連続の減少となっています。マンションは持ち家と同様に増加に転じ、戸建ては2桁減ながら減少幅は前月から5.8ポイント縮小しました。
地域別で見ると、持ち家は中部圏を除いた各地域で同2~3%程度増加。他方、マンションは近畿圏で同77.0%増と大幅に伸長しており、全国合計の反転増につながったものの、近畿圏以外の地域ではいずれも減少しています。今回の調査では、全体的な傾向として、消費増税や新型コロナウイルス感染症の影響による着工減少傾向に回復の兆しが表れたようにも見えます。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大や緊急事態宣言の再発出もあり、今後の見通しは依然として不透明と言えそうです。