東京カンテイは10月31日、新築分譲時の1戸価格が1億円を超えるマンション(億ション)の供給動向を公表しました。それによりますと、分譲実績が確認されたのは40都道府県で、全国の累計供給戸数は2023年末時点で6万2798戸でした。圏域別では首都圏が5万410戸、近畿圏が7905戸、中部圏が2047戸、地方圏が2436戸で、2021年以降、地方圏が中部圏を上回っています。価格高騰の長期化にともない、バブル期を上回るエリアも増加しました。
首都圏の供給戸数は2021年を境に増加傾向で、2022年に初めて3000戸台に到達、2023年には4180戸を記録しました。大半は東京都内で分譲された新築マンションから発生し、首都圏全体に占めるシェアは9割を超えています。神奈川県では2022年に384戸、2023年に132戸と2年連続で100戸以上を記録しました。
また、新築億ション住戸の供給戸数が多かったバブル期(1988~1992年)と直近(2019~2023年)の5年間を比較すると、東京都は1万3429戸で、バブル期の約2.4倍に増加。価格高騰の長期化にともなうもので、東京都以外にも17道府県で当時を上回るボリュームを形成しています。
首都圏全体のデータに影響を与える東京都の供給戸数は、2023年が4039戸で過去最多記録を大きく更新。平均価格は2億436万円、坪単価は816.5万円とバブル期以来の高水準です。東京都では1990年に記録した1769戸をピークに長期間下回ってきましたが、2017年にわずかながら最高値を更新。2019年には初めて2000戸台に達し、その後も供給戸数を伸ばす動きが見られていました。
直近10年間に新規分譲された億ション物件の平均価格ランキングを見ますと、首都圏で最も高かったのは「レフィール南麻布(東京都港区)」の6億1718万円で、9位までが3億円以上となりました。上位の物件スペックを見ると、大半は小規模かつ低層タイプの高級レジデンスで、大規模物件やタワー物件に該当するものはありませんでした。
また、首都圏の歴代の平均価格ランキングを見ますと、上位30位まではバブル期に分譲された物件が独占し、1位は「有栖川ヒルズ(港区)」の21億315万円(坪単価は2947万円、平均専有面積は235.92m2)。「バブル期に分譲された億ションは、専有面積が200m2を超える広さと、坪単価の高さから総額で二桁億ションとなっている」(東京カンテイ)とし、直近10年間の新規供給状況と様相が異なる点を指摘しています。