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2025年基準地価、4年連続の全国平均プラス。観光、住宅需要、再開発が追い風に。

国土交通省は9月16日、2025年都道府県地価調査(2025年7月1日時点の基準地価)を公表しました。全国平均の地価動向は上昇基調が継続し、全用途及び住宅地、商業地のいずれも、4年連続のプラスとなっています。ただし各区分とも、上昇率の拡大幅については前年より縮小しています。引き続き、三大都市圏や〝地方4市〟が主な上昇エリアとして全体を牽引している構図ながら、三大都市圏は全国と同様に上昇幅が縮小し、地方4市の上昇幅は前年を下回りました。他方、地方圏における地価の回復傾向も続いており、地方圏の「その他」では住宅地が下落から横ばいに転じ、1995年以来30年ぶりにマイナスを脱した点も今回の特徴です。

全国平均の地価変動率は、全用途平均が1.5%上昇(前年比プラス0.1ポイント)、住宅地が1.0%上昇(同プラス0.1ポイント)、商業地が2.8%上昇(同プラス0.4ポイント)。いずれも、バブル期の1991年以来34年ぶりとなる4年連続の上昇で、各区分の上昇率も同じく91年以来の水準となりました。地域間の差は依然として大きいものの、地方圏も含め各エリア区分ともプラス傾向が見られることなどから、国交省土地経済課地価公示室は「全体として上昇基調が続いている」との認識を示しています。

住宅地では、引き続き堅調な住宅需要を背景として地価上昇が続いており、特に東京圏及び大阪圏の中心部では、上昇率が高水準で推移しています。さらに前年と同様、観光需要の高いエリアでは「別荘等や移住者、(リゾート施設等の)従業員向けの住宅需要を背景に、引き続き高い上昇」(同省地価公示室)を示しています。加えて、行政施策等により子育て環境が整備されている地域は転入者が多く、堅調な住宅需要が地価を押し上げています。

商業地は、オフィスの空室率低下・賃料上昇による収益性向上を始め、商業店舗や宿泊施設の堅調な需要、マンション需要との競合等が、主要都市における地価上昇の継続を支えました。また、外国人観光客の増加した観光地では、特に高い地価上昇傾向が見られます。再開発事業の進展する地域で、利便性向上やエリア活性化への期待感から地価が伸長する動きも続いているようです。

個別要因としては、前年の基準地価や2025年地価公示(3月公表)と同じく、大手半導体メーカーの拠点が進出した熊本県菊陽町と北海道千歳市及び各地域周辺の地価上昇率は、住宅・商業・工業の各用途とも高い水準が継続しています。なお、2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」の被災地では、地価の下落は続いているものの、下落率には縮小傾向が見られました。

地価変動率の上位については前年同様、人気の高い観光地が住宅地・商業地の双方で多く見られました。住宅地の首位は北海道富良野市の地点(27.1%上昇)で、このほか北海道虻田郡真狩(まっかり)村の複数地点や沖縄県宮古島市などの観光地が散見されています。そうした中、茨城県つくば市と千葉県流山市の各地点は、良好な子育て環境による一般的な住宅需要でランクインしている点が特徴的です。

商業地では、半導体工場進出の影響が続く北海度千歳市の地点が1~3位を占めました。次いで、長野県白馬村や東京都台東区浅草などの観光地が並んでいますが、オフィスニーズの強さ等から、東京都の中央区や渋谷区の地点も上位に挙がっています。