不動産流通経営協会(FRK)が実施した2025年度「不動産流通業に関する消費者動向調査」によりますと、既存住宅の売却時に「プラスの差額(売却益)が発生した」と回答した世帯は、前年から1.3ポイント増加して61.0%となり、初の60%台となりました。平均購入額4298万円に対し、平均売却額は4880.3万円となり、24年度調査よりも売却差額が拡大しています。
築年数別に見ると、「築5~10年の住宅」では平均で約2098万円(2024年度は約1431万円)、「同10~15年」では約2187万円(同706万円)の売却益が発生しており、高値取引が続く不動産市況を映す結果となりました。一方、「築25年超」では平均474万円(2024年度は売却損約271万円)の売却損が発生しており、住宅の経年による価値格差が鮮明になっています。
住宅購入を決めた動機では「資産性の高さ」との回答が最も多く、全体で47.5%。若年層ほどその回答割合は高く、「世帯主が20代以下」では72.7%となり、前年調査から10ポイント以上増加しています。
また、資金面から見た購入理由で最も多かったのは昨年同様、「金利が低かった(低いと感じた)」で、全体の約3割を占めています。特に「世帯主が40代以下」で3~4割とその割合は高いものの、前年調査からほとんどの世代で10ポイント近く減少しました。「住宅ローン減税制度が有利だった」の回答も、「20代以下(33.3%)」と「60代以上(2.5%)」を除いた各年代で減少しており、これまで消費者の購買意欲を後押ししてきた低金利環境の変化を示唆する結果となっています。
FRKでは、「金利の低さを購入理由とする人の割合が減少している。固定金利期間の選択などから、様子見の姿勢もうかがえる。次年度の調査結果に金利動向の影響が反映されてくるのではないか」との見方を示しています。
