国土交通省は11月18日、2025年第3四半期版(10月1日時点)の「地価LOOKレポート」をまとめ公表しました。それによりますと、主要都市の高度利用地等(全80地区)は7期連続で全地区が上昇。用途別では、住宅地(22地区)が14期連続、商業地(58地区)が7期連続の全対象地区上昇となっています。
変動率区分で見ても、前四半期と同様の傾向が続いており、「3~6%の上昇」が5地区、「0~3%の上昇」が75地区で、横ばいや下落の地区はありませんでした。内訳も変わらず、比較的高い「3~6%の上昇」は住宅地の「大濠」地区(福岡市)と、商業地の「銀座中央」(東京都中央区)、「歌舞伎町」(同新宿区)、「中野駅周辺」(同中野区)、「京都駅周辺」(京都市)となっています。同省土地経済課地価公示室の黒田良一室長は、「区分だけでなく、具体的な上昇率もそれほど大きな変化はなく、下落傾向も特に見られなかった」と補足しています。
地価上昇の要因についても基本的には同様で、同課は住宅地について「利便性や住環境に優れた地区におけるマンション需要の堅調」、商業地は「再開発事業の進展や国内外からの観光客増で店舗・宿泊施設への需要が堅調であり、オフィス需要も底堅く推移した」等を挙げています。
そうした中で、黒田室長は地価動向調査における不動産鑑定士の見解から、「建築コストの上昇で(物件)供給価格も上がり、供給量が減少しているとのコメントが増えた。他方、地価LOOKの対象地区は高額物件中心のエリアのため、特に住宅では富裕層の需要が強く、価格上昇分も吸収できている」と、地価上昇傾向が継続する背景を説明。併せて、土地価格に直接影響するものではないと念押ししつつ、地価上昇の波及例として「住宅では、(新築価格の上昇により)中古物件の取引活発化も目立つ」と補足しています。
