東日本大震災を受けて、住宅新報社が実施した「緊急アンケート調査(期間:4月18〜21日/主要住宅・不動産会社56社の回答)」によると、前年と比べて住宅・不動産市場全般の市況が「悪くなる」と答えた割合は6割以上に上りました。震災前の「新年景況アンケート」では、僅か2.8%だったその割合が一気に跳ね上がり、特に原発事故処理の長期化による市況の不透明感を指摘する声が目立っています。その一方で、希望的観測も含めてか「半年程度で落ち着くのでは」といった見方も多くありました。
6割超に上った対前年比での「市況の悪化」について、具体的な数値を聞いたところ、「〜5%」が19・6%、「5〜9%」が23・2%、「10〜14%」が14・3%、「15〜19%」が1・8%でした。20%以上の回答はなく、悪化するとはいっても1ケタ台が多く、大きな落ち込みはないと予想しています。ただ、昨年末に実施した「新年(11年)景況アンケート」では、悪化の予想は2・8%(好転=40・3%、同程度=56・9%)で、震災が確実にマイナスに働くと考えている企業が多いようです。
また、震災が市場に与える影響度合いについて聞いたところ、「相当大きい」と答えた割合は16・1%、「影響はあるが、半年程度で落ち着く」60・7%、「既に平準化へ向かっており、影響は軽微」14・3%、「その他」8・9%となりました。「半年程度で落ち着く」は希望的観測の意味合いが強いと思われますが、特にマンションの販売現場では、「4月に入ってからお客様の来場が以前に戻った」という声が多く聞かれ、それを踏まえた回答でもあるようです。しかし、「その他」の意見の中には、「原発の収束次第」「今後の原発の対応によっては相当影響を受ける」といった懸念も示されており、原発問題が、今後の市場を大きく左右することになりそうです。