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「シティセールス」で魅力発信、行政が見せる〝街力〟向上策

行政サイドによる街の魅力発信政策「シティセールス」。近年、試行錯誤を繰り返しながら取り組む自治体が増えています。そこにあるのは我が町への愛情。先進的に取り組む神奈川県川崎市、千葉県流山市の状況を紹介します。

 

川崎市 「イメージ向上」がテーマ 伝えるのは「本来の姿」

神奈川県川崎市では、05年に「シティセールス戦略プラン」を策定して以降、対外的な魅力発信を継続しています。知名度抜群の川崎市が、何を目的に発信しているのか。それは、「都市イメージの向上」です。同市が03年度に実施した「川崎市に対するイメージ評価」では、全体の39.2%が川崎市のイメージを「悪い」「やや悪い」と答え、「良い」「やや良い」を13.3ポイント上回りました。この結果が、「プラン」を策定するきっかけの1つとなりましたが、「公害」「工場」「空気が悪い」などといったマイナスイメージ払しょくのために活動しているのが、「シティセールス・広報室」です。同市はもともと、都心への交通利便性は良好。近年は大手ディベロッパーによる商業施設開発も活発化するなど、「オシャレな街」としての〝風格〟も表れています。自然環境も豊かで、文化・芸術に対する取り組みも精力的。「これら本来の川崎の姿を伝えるのが、私たちの仕事」と米井克子担当係長は話しています。意識して取り組んでいるのは、市民や民間事業者との協同事業。「川崎市イメージアップ認定事業」を05年度から実施しており、「地域の魅力づくり」「魅力の情報発信につながる事業」に対して、補助金(上限50万円)で活動を支援しています。この事業から「ご当地アイドル」が誕生し、また、「川崎ベイサイド工場夜景リレーラン」など〝マイナス〟を逆手に取るユニークな取り組みも見られ、イメージアップにつながっていると好評です。03年度のイメージ評価から6年後。「悪い」の回答割合は39.2%から16.6%に減り、逆に「良い」が25.9%から30.1%に上昇。評価方法が変わったため一概に比較できませんが、現在でも「良い」が「悪い」を上回る状態は継続しています。シティセールス戦略プラン策定から、来年で10年。更なる〝セールス強化〟のために、次の展開を模索している最中です。a0960_004814_m

 

千葉・流山市 市外へのアピール徹底 「民間の突破力」が強み

千葉県流山市。10年ほど前に企画部企画政策課内に「マーケティング室」を設置、その後「課」へと昇格させ、市を外部にアピールする策を展開しています。 「とにかく、流山の名前を知ってもらうこと」がマーケティング課の使命。いくら魅力的な街並みや行財政政策を用意していても、市の知名度がなく住宅購入先の候補として俎(そ)上に載らなければ、それらは埋もれてしまいます。「発信した情報がフックとなり、少しでも心に響いてもらえれば」と大島尚文課長補佐は話しています。同市は、財源の9割以上を個人住民税で賄っています。人口約16.8万人(13年4月1日時点)の「人の街」ですが、放っておくと「高齢化」はどんどん進みます。そこで、「子どもがいる共働き世帯(DEWKS=Double Employed With Kids)」に定住してもらうべく、それらの層に響く様々なPR活動を展開。特徴的なのは「市外への発信」を徹底していること。各種メディアやSNSを活用した幅広い情報発信のほか、特に注力しているイベント活動でも、「来場者の何割が市外の人だったか」を重視しています。「市外の人にどれだけPRできたか、楽しんでもらえたかが重要。市内の人が多く集まるイベントになってしまったら、仕事としては失敗と考える」とし、市内振興は別の部署が担当しており、同課の仕事は「市外へのアピール」ということを徹底しています。13年度は8回の各種イベントを開催予定ですが、イベントが軌道に乗り出したのは09~10年度以降。「どのようにすれば、時間とお金をかけてでも来てくれるか」を大前提に、内容を再編したことが奏功しました。前年度は合計で約12万人が来場するイベントを実施でき、市外割合も45%まで高まっています。特に、12月に実施した「プロジェクションマッピング」の市外割合は61%。建物など立体物の面にプロジェクターで映像を映し出すプロジェクションマッピングは、来場者に大好評でした。5人で構成されるマーケティング課は、課長をはじめとする3人は民間出身。「成功しても、次回同じことはしない」がモットーの河尻和佳子さんも民間出身です。プロパー職員の大島課長補佐は、「我々にはない突破力」と笑う。東日本大震災後に放射線の「ホットスポット」として名前が挙がった時でも、「このような時こそPRを」と手を緩めなかったのも、民間出身者が過半を占める課のバイタリティーなのかも知れません。同市の人口は、10年前と比べて11.5%増えています。つくばエクスプレス開通の影響はもちろんありますが、「シティセールス先進都市」として、他の自治体から注目が集まっています。