2024年12月15日
不安定な状況が続く株式市場に対し、注目を集めているのがJ-REIT(不動産投資信託)です。J-REITは不動産を運用対象とする投資信託で、現在東京証券取引所に54銘柄が上場しています。J-REITが活況を呈している理由は、ファンダメンタルズ(経済指標の基礎的状況)がいいこと、日銀のマイナス金利などの金融政策、投資家の需給環境、の3点です。
まずファンダメンタルズですが、都心を中心にオフィスの空室率が下がり、賃料も上がっています。オフィス系銘柄はJ-REITの半分近くを占める中心アセットで、これは非常に好材料です。ホテル関連も、円高の影響はあるものの基本的にはインバウンド需要が昨年に引き続き堅調で、客室単価も上がっています。商業施設や物流倉庫なども新規物件の開発が進むなど、総合的にみてよい状況が続いています。日銀のマイナス金利による借入金利の低下も、借り入れの多いJ-REITにとっては利子負担が小さくなるメリットがあります。また、銀行や保険会社など金融機関の投資先として、利回りがマイナスの国債に替わりJ-REITが選ばれており、日銀も買い入れているという安心感も大きくなります。
イギリスのEU離脱という大きなトピックスがあり、円高・株安のリスクが喧伝されていますが、リーマンショックほど実態的な日本への影響は少ない、というのが専門家の見方です。この流れは今年から来年までは続きそうで、その後の2018年から20年にかけてはオフィスの大量供給が続くので、空室率が上昇し、賃料も下がることが予想されています。タイミングとしては今年が“買い”ということになるでしょう。