住宅新報社が年2回実施している「4大都市圏家賃調査」(2017年9月1日時点)がまとまりました。それによりますと、東京圏のマンションの平均賃料はワンルームタイプが7万2077円で前回調査(2017年3月1日時点)比0.35%プラスとなり、3期連続で上昇しました。1LDK~2DKタイプは10万8071円で0.3%プラス。2LDK~3DKタイプは13万4380円で0.32%プラス。マンションはすべてのタイプでわずかではありますが、3期連続の上昇となりました。各タイプの上限、下限価格を見ますと、いずれのタイプもプラスで、下落傾向は収束し、横ばいとなったと見てよく、今後更に上昇する可能性も出てきました。
アパートの平均賃料は1K~1DKタイプが6万2709円で0.22%上昇。2DKタイプが8万5366円で0.08%とわずかではありますが上昇しています。上限、下限も全てのタイプで上昇しており、マンションも含めて下落がなかったのは2013年9月期調査以来8期ぶりです。
調査対象の不動産会社からのヒアリングによりますと、小田急線沿線で上昇傾向が見られました。「客足は横ばいだが、高めの物件の成約が多く、客単価が上がっている。ファミリー層が増えている印象で広めの物件が人気になっている」(東京都・成城学園前)、「客足は秋商戦当初は低調だったが、最近回復し、今は例年並み。ファミリー層が多い」(東京都・狛江)など。ただし、すべての駅が好調というわけではありません。「客足は減少傾向」(神奈川県・新百合ヶ丘)、「お客は少なくなっている」(東京都・町田)との声もあり、同一路線内でも二極化が進んでいることが分かります。京王線も好調で、「1LDK~2LDKが人気で、新築時より高値で募集しても、成約する部屋があった」(東京都・笹塚)、「駅前の開発が一通り済んだ段階で、強気の家賃設定もある。案内できる物件が少ないので、国領など近隣駅のファミリータイプで決めている客も多い」(東京都・調布)。
客足が減ったという不動産業者に聞きますと、下調べせずいきなり来る客が減り、スマートフォンで調べて、ある程度物件を決めている人が多いといいます。「かなり細かい所まで調べているので、接客は比較的楽になった」(千葉県・柏)という声もありました。早期契約に向けて、不動産業者も様々な工夫をしています。「ホームステージングをするオーナーもいるし、VR内見を採用する業者もあるようだ」(東京都・京王多摩センター)。また、相続税対策として、シングル向けの新築物件が多くなっている現状については、「新築の時に1Kを建てないようにとオーナーには説明しているが、戸数の関係で1Kになることが多い。リビングがついているほうが成約にもつながるのだが」(神奈川県・日吉)という声もありました。