総務省の「2013年住宅・土地統計調査」では、日本全体の空き家は約820万戸、東京都で約82万戸(区部は約59万戸)という数値が示され、実数とかけ離れているとの意見が出ていました。それを受けて、東京都では各市区町村で空き家等実態調査・空き家等対策計画策定を進めています。その中の特別区部(23区)の調査結果、対策計画、空き家数、利活用、専門相談等の取り組み状況をまとめました。
23区のうち、空き家等実態調査を実施した19区で、対策計画策定が17区、空き家および空き家と思われる建物の集計が終わっている18区の合計の空き家数は1万5471棟でした。
総務省の「2013年住宅・土地統計調査」では、23区の空き家数は58万7320戸で、これは長屋住宅や共同住宅等の集合住宅等の空室を含めた、サンプル調査により推計された戸数ベースのものです。
一方、各区の空き家実態調査では、区ごとに調査方法は異なるものの、多くの区で棟数ベースでの手法を採用しています。集合住宅の場合は、1住戸でも居住が認められると空き家に数えず、全室空き家の場合は1棟に数えています。そのため、空き家と数えられた建物は、戸建て住宅の割合が多く、足立区と荒川区では9割以上が集合住宅以外でした。また、千代田区、中央区、港区は、空き家実態調査などを実施しない理由に、空き家の数が非常に限られ、苦情や相談も少ないことを挙げています。
一般的に都心に近いほど、不動産価値も需要も高いため、空き家数は少ないと考えられ、文京区は280件、新宿区は441棟(ゴミ屋敷約10件含む)、渋谷区は404棟と周辺区よりも少ない結果となりました。区内の多くが住宅地で、人口や面積が多い周辺区ほど空き家数が多くなり、空き家が多かったのは、足立区の2353棟をはじめ、板橋区の1525件、練馬区の1507棟と3区が1500以上で、次いで北区の1278棟が続いています。
逆に都心に近い品川区が1068戸と多く、周辺区の杉並区が408件と少ないなど例外はあるものの、全体的に都心ほど空き家が少ない傾向にあるようです。
区によって空き家等実態調査後の対応の違いがあり、品川区、目黒区、大田区、杉並区、荒川区、板橋区では空き家と推定された建物について追跡調査の実施や予定があります。一方で、江戸川区では、12~13年に老朽家屋等実態調査は実施していますが、空き家等実態調査は行っていないため、空き家数については把握していません。早い時期から取り組んでいる区と、そうでない区との意識の違いが表れた結果となりました。
(総務省の住宅・土地統計調査は、5年ごとに実施され、2018年の調査結果は、4月末ごろに全国と都道府県別の住宅総数と建て方別総数、空き家総数を公表し、9月に市区町村ごとの調査結果を公表する予定です)