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住宅/不動産業経営者アンケート「増税の影響は限定的」7割

日本の景気動向の転換点になるとされる東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年を迎えました。住宅新報では、住宅・不動産会社の経営者を対象に今年1年の景況感を聞く恒例のアンケートを2019年12月に実施し、経営者56人から回答を得ています。2018年の年末に、消費増税対策として住宅ローン減税の拡充などの税制改正が決定されたにもかかわらず、10月の増税を控えた駆け込みとその反動への警戒心は払拭されず、「厳しい1年を覚悟する」ムードが昨年は漂っていました。五輪開催年の期待とマイナス材料が混在する今年は、「見通せない1年」と言えそうです。そうしたトップの意向が表れたアンケート結果の要点が以下の通りです。

前年に消費増税が実施され、五輪後の景気減速が指摘されています。そうした状況に置かれた今年の景気見通しと、住宅・不動産市場の全体的な景況については、「前年と同様の状況が続く」がそれぞれ過半数を超え、昨年と同じ傾向が続きました。「五輪開催までは経済は上向くもののその反動が予想され、通年で相殺」とのコメントに象徴される見方が根強いようです。しかし五輪特需(建設需要)の一服感、貿易摩擦等の不安定な海外情勢、国内の雇用・所得の伸び悩み、人口減少などがマイナス材料として指摘されています。同様に住宅・不動産市場の景況についても、「用地難の分譲マンションに対して、ビル賃貸は好調」「地価高騰、資材費の高止まりが継続」「不動産投資家の利益確定が進む」「実需不動産は一時的なマインドの冷え込みで厳しくなる」などのコメントが聞かれ、警戒心の高まりがうかがえました。一方、近年、中古流通市場で存在感を高めてきたリノベーション市場ですが、ここに来て「拡大」の回答が低下し、一服感が見られます。

また、不透明感が漂う中で2020年度の新設住宅着工の見込みは、90万戸未満が7割近くに上り、前年(7.3%)より大幅に増えています。個人住宅(持ち家)、賃貸住宅、分譲住宅(戸建て)のトリプル減を見込む回答も目立ちました。更に首都圏の分譲マンション供給戸数も、昨年は3.5万戸以上が80%近かったのに対し、今年は3.5万戸を境に見方はほぼ二分された格好となりました。「売れ行き悪化」の見込みも、前年より4.2ポイントアップの30%近くに上昇しています。

今回は、消費増税の影響についても質問しており、「限定的な影響にとどまっている」の回答が69.6%、「影響なし」は28.6%で、合わせておおむね想定の範囲内と受け止められているとみられます。しかし、「住宅支援策(増税対策)が順次終了していく」「消費増税対策の剝落」「反動減緩和策の効果では本格的な需要回復に至らない」など先行き不安が再び浮上している様子も浮かび上がっています。

さらに、2020年の注目テーマ・事象については、やはり東京五輪に注目が集まりました。選手村の利用後、分譲マンションとなる「ハルミフラッグ」の販売動向とその影響、五輪後の不動産売却や訪日客、テレワークなどの動向にも関心が寄せられました。さらに、不動産テック、金融機関の貸し出し、働き方改革、SDGs、レジリエンスやハザードマップなどへの関心も目立っており、「環境木化都市」「日本の街づくりを世界にアピール」といった都市関連のテーマも見受けられました。