住宅新報では、住宅・不動産企業の経営者を対象にした2022年1年間の景況感を聞く恒例のアンケート調査を実施しました。アンケートは2021年12月に実施し、経営者55人から回答を得ました。前回は新型コロナ感染拡大を受けて、楽観・悲観の入り交じった結果となっていましたが、今回の調査では引き続き住宅分野の成長に加え、DXやカーボンニュートラルといったアフターコロナを見据えた動きに対する期待感がうかがえる結果となりました。一方、オフィスに対しての見通しは、現状維持か下落とやや弱含みで、特にオフィス賃料は大規模(Aクラス)で現状維持、中小で下落を見込む意見もありました。
景気の見通しに関しては、「やや改善」が約7割を占め、「ワクチン接種が一巡し、消費活動が戻り経済が平常化されるため」「コロナ収束を見据えた具体的な経済活動が活発化する」など、ワクチン接種の普及や新型コロナの感染状況の落ち着きを反映したものとなりました。住宅・不動産市場の全体的な景況は、前年同様との見方が支配的で、「需要減や価格下落要因がないため」「住宅市場は引き続き好調を維持する」といった昨年の好調さを継続するという見方が多かったようです。また、「政府の経済対策も下支えとなり、徐々に需要が回復する」とし、市況が更に好転するとの意見もありました。
首都圏の分譲マンション供給戸数の見通しは、3万~3.5万戸未満が8割強を占め、前回と同様の傾向。売れ行きについても、9割弱が横ばいと見ており、適地不足や資材価格高騰などによる価格上昇が販売の足かせとならなかった最近の傾向を反映した楽観的な予想が広がりました。 また、首都圏の不動産流通は、個人・法人とも取引件数が「増加」、価格が「上昇」との回答がいずれも約4割を占めるなど強気の見通しで、昨今の取引状況を反映したものとなりました。不動産投資市場については、横ばいか上昇という回答がほとんどで、世界的な金融緩和は転換点を迎えている一方、日本の金融緩和は当面大きな変化はないとの見方もあり、堅調な不動産投資市場は継続すると考えられています。