日本と韓国を結ぶ総合不動産ソリューション企業
株式会社ワイ・エム・コンサルティング
TEL:03-3348-2241
9:00~17:00(月~金)

16年地価公示 8年ぶり上昇示す

国土交通省はこのほど、16年地価公示を発表しました。16年1月1日時点の地価公示は全国平均で0.1%上昇。リーマン・ショックが起きた08年以来、8年ぶりに上昇に転じています。全用途平均の地価が上昇したのは、商業地の地価動向によるところが大きく、商業地の全国平均は0.9%上昇。15年調査では横ばいでしたが、今回8年ぶりの上昇となりました。1

商業地を圏域別にみると、三大都市圏が2.9%上昇で3年連続の上昇。東京圏が2.7%上昇、大阪圏が3.3%上昇、名古屋圏が2.7%上昇と総じて上昇基調を強めています。また、地方圏の地方中枢都市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)は5.7%上昇と、三大都市圏を上回る上昇率を記録。一方、地方中枢都市以外の地方圏は1.3%下落で、引き続きマイナス基調となっています。

商業地における上昇は、いくつかの要因から投資意欲が喚起された結果とみられます。第一に訪日外国人客の急増です。15年の訪日外国人客数は1974万人で、2000万人突破が間近。これを背景に店舗やホテルの需要が拡大し、堅調な地価動向につながったようです。商業地で上昇率が高かったのは、心斎橋筋に当たる「大阪市中央5―23」(変動率45.1%)、道頓堀に当たる「大阪中央5―19」(同40.1%)など。これら大阪の「ミナミ」地域では、「訪日外国人の需要が顕在化している」(国交省)。地方都市でも、商業地が5.9%上昇した福岡市や、同3.8%上昇した沖縄県那覇市などで外国人観光客が増加基調です。

また、主要都市では空室率の低下傾向などオフィス市況の改善がみられます。商業地が6.0%上昇した札幌市、同4.1%上昇した広島市などではオフィスや大型商業施設、店舗の需要が堅調です。法人投資家などにとって金融緩和による良好な資金調達環境も整っており、商業地全体の収益力向上が旺盛な不動産投資意欲、ひいては地価の上昇につながっています。

一方、住宅地の全国平均は0.2%下落。依然として下落基調ですが、08年以降で下落幅は最小となりました。国交省では「全国的な雇用情勢の改善、住宅ローン減税などの施策による需要の下支え効果により地価は底堅く推移」している、とみています。住宅地を圏域別にみると、三大都市圏が0.5%上昇。14年に上昇に転じてから3年連続の上昇となりましたが、ほぼ前年並みの小幅な上昇でした。東京圏は0.6%上昇で3年連続の小幅な上昇。大阪圏はほぼ前年並みの0.1%上昇でした。名古屋圏は0.8%上昇で、前年と同じ上昇幅。地方圏の地方中枢都市は2.3%上昇で、商業地と同様に上昇率が三大都市圏を上回った。地方中枢都市以外の地方圏は1.0%下落しています。