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札幌、過剰な不動産投資熱 期待利回り最低水準

不動産投資熱が札幌に波及しています。日本不動産研究所が先月発表した2016年4月の不動産投資家調査によれば、札幌市中心部のホテルとマンションの期待利回りが過去最低となりました。投資が先行している首都圏の一部で下げ止まりの兆しが出る中で、観光需要が期待される道内へターゲットが移っているようです。

a0960_007518同調査は、全国の機関投資家などを対象に年2回実施しており、期待利回りは賃料などの収益を物件価格で割った値で、投資判断の目安とされます。札幌のビジネスホテルの利回りは6%で、前回(2015年10月)より0.2ポイント下がり、2008年4月と並び8年ぶりの過去最低となりました。同研究所北海道支社によれば、札幌は外国人客の急増でホテルが足りず、建設投資の潜在需要が大きいと分析されています。一方、五輪を控え活発な投資が続いていた東京は前回と同じ5%と下げ止まりました。競争の過熱を懸念する心理が働いたとみられます。

札幌の利回りに大きな影響を与えているのは、やはり中国人による「爆買い」のようです。ある東京の不動産仲介業者によれば、日本で投資物件を探していた中国人の客に札幌市のマンションを紹介したところ、「札幌ね…駅から何分?」と尋ねてきたそうです。「3分です」と答えると、「OK、買って」との返事が。不動産バブルはこれまでにも何度か経験してきたけれど、これほどまでのことはなかったと驚愕したそうです。

札幌の賃貸マンションの利回りは前回比0.2ポイント減の6%で、2008年4月以来の過去最低水準に並びました。札幌市中央区の地下鉄沿線などでは地価も上昇しており、利便性の高い地区はかなり競争率が激しくなっているようです。

一方、オフィスビルは0.1ポイント減の6.1%で8年ぶりの低水準だったものの、東京の3.7%に比べると依然として差が開いているといえます。オフィス仲介を手掛ける業者によれば、札幌中心部は新規物件が少なく投資対象が限られていると指摘されています。今後、札幌駅前の再開発などが進むと、さらに投資が加速する可能性があるようです。