国土交通省は8月26日の予算概算要求と併せ、2022年度の税制改正要望も公表しました。概算要求同様、「経済好循環」「豊かな暮らしと地域活性」「防災」を3本柱とし、このうち2つの柱の筆頭項目で、住宅ローン減税等の住宅取得促進策に係る要望を掲げています。
具体的には、今後の経済情勢等を踏まえ、2021年度末までに適用期限を迎える住宅ローン減税、住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置、認定住宅の投資型減税などに関した所要の措置を講じていく要望となっています。施策の背景には、経済情勢の先行き不透明感や新設住宅着工戸数の大幅減少、住宅所要資金における年収倍率の拡大などがあります。加えて、今年3月に閣議決定された住生活基本計画では、省エネルギー性能の向上をはじめ、長期優良住宅ストックやZEHストックの拡充が示されています。
同省では、住宅ローン減税については個別の項目のみを記載する「事項要求」としました。住宅投資の波及効果を認める一方で、コロナ禍対応の経済対策を含めたこれまでの措置の実施状況や今後の経済情勢を見極めるとともに、2050年カーボンニュートラル実現の観点からの検討も進めるためとしています。同省担当者は「現行ベースの特例延長ではなく、様々な勘案事項を含めた総合的な検討が必要」と説明し、今年末までに要望をまとめる考えを示しました。
住宅ローン減税に加え、注目されるのが「土地に係る固定資産税における特例措置」です。2021年度は、新型コロナ感染症の感染拡大に伴う環境変化を踏まえ、納税者の負担感に配慮するため、評価替えを行った結果、税額が上昇するすべての土地について2020年度税額に据え置く措置が講じられました。2022年度は、2021年度評価替えの結果が反映され、大きく地価上昇した地点を中心に固定資産税負担が増加する見込みです。一方、景気は依然として厳しい状況が続いていることから、同省では「社会経済情勢や地価動向等を踏まえ、必要な検討を行った上、所要の措置を講じる」としています。