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中古マンション 実需層の動きに期待 新築に代わる「受け皿」

14年の首都圏中古流通市況を振り返りますと、「4月」を境に市況がはっきり変わりました。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の首都圏流通動向によりますと、中古マンションの成約件数は、4月以降8カ月連続で前年比が減少。8、9、11月を除く月が二桁減でした。年初より減少基調に転じていた中古戸建ては、4月以降に減少率が拡大。個人間で売買される中古住宅は消費税が非課税ですが、増税に伴う全体的な消費減退ムードにのまれた形です。成約減が象徴する市況低迷は、各社の中間期仲介実績にも反映されています。軒並み過去最高の業績を記録した前年と打って変わって、全体の7割弱で手数料収入が減少しました。ただし、これはあくまで前年と比較したときの事象。多くは2年前の実績と同水準、またはそれを上回っており、ある大手の社長は「13年が随分よかった。今年は踊り場」と表現しています。a0960_003989

一方で価格推移を見ると、都心と郊外で市況の違いが鮮明化しました。前出の東日本レインズの統計によれば、中古マンションの成約単価は2年前から一貫して上昇基調。ただ、東京都と神奈川県は首都圏全体の動きに準じていますが、埼玉県と千葉県については前年比で下落した月も散見されています。東京カンテイが毎月まとめている中古マンションの売り出し価格推移を見ると、地域差は更に顕著です。直近の10月は、東京都の都心6区で価格の上昇率が拡大。需要を踏まえて売り希望価格がつり上がり、売り控えの動きも相まって価格が高騰しています。台湾をはじめとする海外投資家も、最近は大口取引だけでなく、都心部で数千万円のマンション住戸を買い求めている模様。こうした動きも影響しているようです。これに対して、埼玉県と千葉県の10月の価格は今年の最低値を更新しました。

今後の市況については、都心部では価格高騰が落ち着き、その他エリアでは値ごなれが進むことで、実需層が広範に動き出すとみられます。また長期的には、新築動向がより大きく影響してくるのではないでしょうか。建築費高騰で新築マンションの価格上昇は避けられず、着工は既に減少局面にあります。潜在的な住宅需要自体は常に一定割合存在するため、新築に代わる受け皿として中古住宅流通が活性化する、との見方が業界では少なくありません。特に、価格に占める建築費の割合が高い郊外エリアで、それを期待する声が聞かれます。

新築の市況に中古も連動する――。これが従来の定説ですが、中古ストックが積み上がっている昨今、それを覆す状況が生まれるかもしれません。